人事制度 / 超カリスマ人事制度 / 哲学
哲学
超カリスマ人事制度は、カリスマ経営を、会社に実装する人事制度です。このページでは、それを支える10の考え方を、1つずつ説明します。どの考え方にも、ひとことでの説明、経営者にとっての意味、裏づけとなる研究、アプリの画面、実物を見られる場所を添えました。下の一覧で名前を押すと、その説明へ移ります。
やり方は隠しません。このページを読んで、ご自身で組み上げていただいても構いません。当事務所の代表がお受けしてきたのは、この考え方を、会社の言葉と数値で実装しきるまでの仕事でした。もっと深く書いた読み物は、連載「未来の為の人事制度」にあります。顧問サービスに内蔵した役割型人事制度で組み上げた実物は、労務相談顧問アプリ(サンプル)にあります。
10の考え方は、次の1本の筋でつながっています。
- 労使は、利害が正面からぶつかる間柄です。雇う側は少ない費用で多くの成果を求め、雇われる側は少ない労力で多くの給与と安定を求めます。社員が反感を持つのは、人柄ではなく、この関係の仕組みのせいです。
- 向きをそろえられるのは、会社の利益の一点だけです。社員がいまより多くの給与をもらい、いまより楽に働ける方法も、会社が利益を上げること以外にありません。だから、全員利益最大化を置きます。
- 全員マーケティングが、体の向きを会社の側へ変えます。お客様に自社の商品を勧める人は、外から見ても本人から見ても、会社の側に立っています。
- 優先順位とザ・プログラムが、指示から曖昧さを消します。判断の順番を固定し、指示を数値とYes/Noで判定できる形に書きます。
- 仕事に人を与え、高い報酬で報います。役割を先に決めて人を置き、利益を生む人には高い給与を払います。
ここまで組み上げると、人事の問題は解けます。そして、同じ問題が起きなくなります。
10の考え方と、13の理論
超カリスマ
カリスマ経営を、会社に実装することです。
経営者にとっての意味
「うちは、私がカリスマではないので」という言葉を、経営者の方からよく伺います。会社を速く動かしているのは結局、自分1人の勘と熱量であり、その資質が足りなければ会社もそこまでだ、というお考えです。
前半は正しく、後半は誤りだと私は考えています。
カリスマ経営者が会社の中で果たしている働きは、人格ではなく機能です。機能は5つに分けられます。この制度では、これを「カリスマの五原則」と呼んでいます。
- 利益の最大化を全ての起点とする。何のために戦うのか(目的)
- 組織の指針となる明確なビジョンを持つ。どこへ向かうのか(方向)
- 現実的かつ客観的な評価を重視する。何を良しとするか(基準)
- リスクを恐れず、圧倒的な速度で行動する。どう戦うのか(手段)
- 自分に自信を持ち、自己の発信に責任を持つ。誰が責任を取るか(覚悟)
資質は分解できませんが、機能は分解できます。分解して書けたものは、会社の組織に組み込めます。組み込んだものは、経営者が現場にいない日にも、経営者が代わった日にも、同じように働きます。
1人に頼るカリスマ経営には、6つの欠点があります。感情的、天賦由来、属人性、一時的、情熱的、感覚的、の6つです。この制度は、この6つを1つも持ちません。
- 経営者個人の感情ではなく、経営理念を実現するための理性的なルールで動きます。
- カリスマによる支配は一時的な熱狂ですが、この制度が作るのは、長く続く安定です。
- カリスマによる支配は数値にできませんが、この制度は論理的で機能的な仕組みなので、数値にすることが容易です。
重大インシデント予防や、ザ・プログラムによる感情の失策の防止は、ブレーキです。ブレーキは、カリスマ経営を否定するために付いているのではありません。より速く、より強く、カリスマ経営をするために付いています。
カリスマの長所である強烈な個性とリーダーシップは、捨てません。役割ごとの指令書で、さらに強い熱量と強制力に変えて、末端の社員にまで届けます。全員利益最大化と全員マーケティングが、経営者の向きと全社員の向きをそろえ、会社を1つの闘う集団にします。
1人のカリスマが口やかましく指導して回れるのは、50人ほどまでです。現場を駆け回る経営者ほど、社員が10人を超えたあたりで、自分の見ていない所で社員がどう働いているのか分からない不安に気づき始めます。この「10人から30人の壁」を越えるために、カリスマを会社に実装します。
事業承継の場面では、このことがいちばんはっきりします。後継者が一人前になるまで、会長として残って見守る先代は少なくありません。けれども、そのやり方は、大事な場面に後継者が偶然立ち会えるかどうかに賭けています。判断の理由が言葉になっていないので、後継者は動きの表面だけを真似ることになります。時刻を告げ続けるやり方では、その人がいなくなった日に、誰も時刻が分からなくなります。渡すべきものは、時刻ではなく、時計です。
カリスマではない、とおっしゃる経営者に足りないのは、資質ではありません。すでにお持ちの判断を、会社の仕組みとして書き出す設計です。
裏づけとなる研究押すと開きます
カリスマという言葉を社会科学の概念にしたのは、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーです。ウェーバーは、人が他人の命令に従う理由を3つに分け、そのうちカリスマによる支配を、最も不安定なものとしました。ある人が特別だという信念だけに支えられているので、その人が成果を出せなくなった瞬間に、支配の根拠が消えるからです。だからカリスマが長く続くには、1人の資質が、規則や役職や手続きへと形を変えなければならない、と論じました。「カリスマの日常化」と呼ばれます。この議論は、ウェーバーの死後、1921年から翌年にかけて刊行された『経済と社会』にあります。
その後の経営学は、この見方を一歩進めました。
- ロバート・ハウスは1977年に、カリスマ的な指導を、内面の資質ではなく、指導者の行動と、それに対する部下の反応として説明する理論を示しました。
- ジェイ・コンガーとラビンドラ・カヌンゴは1987年に、カリスマとは、部下が指導者の行動を見て感じ取るものであり、指導者の中に宿っている何かではない、と論じました。
- ジム・コリンズとジェリー・ポラスは1994年の著作で、長く卓越し続けた企業と比較対象の企業を対にして分析し、偉大な企業にはカリスマ的な指導者が必要だという通念を退けました。永続した企業の創業者は、時を告げるのではなく、時計をつくっていた、という言い方で知られています。
資質に頼ることが実際に業績を落とすことについては、因果関係を検証した研究があります。モーテン・ベネッセンらが2007年に経済学の査読誌に発表したもので、退任する経営者の第1子の性別を手がかりにして、一族への承継が業績に与える影響を推定しました。資産営業利益率は、交代の前後で少なくとも4ポイント下がっています。
労務相談顧問アプリでは
カリスマの五原則は、制度に欠かせない次の要素になり、そのままアプリの画面になっています。項目を埋めると、社員の手元へそのまま届きます。
- 1(目的)全員利益最大化と、全員マーケティング
- 2(方向)経営理念と、会社の経営方針
- 3(基準)数値化と、結果(生み出した価値、利益貢献)主義
- 4(手段)フラット階層と、ノー・エクスキューズ・ポリシー
- 5(覚悟)ザ・システムと、ザ・プログラム
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)を開き、左の欄のザ・プログラムを押してください。上半分に思考と判断のルールが5つ、下半分に行動と手順のルールが4つ並んでいます。当事務所が制度の土台として定めた9つを、1つも足さず、1つも引かずに画面にしたものです。上半分には、経営理念(五原則の2)、行動の2大原則=全員利益最大化と全員マーケティング(五原則の1)、ノー・エクスキューズ・ポリシー(五原則の4)が並んでいます。五原則の5のうち、ザ・システムは同じ左の欄の役割定義書と評価シートで、ザ・プログラムは役割別ザ・プログラムの画面でご覧いただけます。
経営者ファースト
人事制度を、経営者とその一族の利益の最大化と、資産の防衛を目的として作る考え方です。
経営者にとっての意味
この言葉は、社員を大切にしない、という意味に聞こえるかもしれません。けれども、これは誰を大事にするかという心構えの話ではありません。会社の目的をどこに置くか、という設計の話です。
当事務所は、次の4つを制度の土台に置いています。
- 経営者が身銭を投じたから、会社があります。
- 経営者へのリターンがなければ、会社を営む意味がありません。
- 会社は経営者のものです。社員のものではありません。
- 社員はいつでも辞められますが、経営者は辞めることが難しい。
雇う側はできるだけ少ない費用で多くの成果を求め、雇われる側はできるだけ少ない労力で多くの給与と安定を求めます。この食い違いは、どれほど良い関係を築いても消えません。
ここを曖昧にしたまま人事制度を作ると、制度は必ず、社員の機嫌を損ねない方向へ傾いていきます。基準は下がり、評価は真ん中に寄り、給与は今の水準から動かなくなります。経営者は、自分が譲っていることに気づかないまま、少しずつ判断の主導権を手放していきます。社員の機嫌を損ねたくない、という考えは、その時点で会社を渡しているのと同じです。
「従業員を大切にする」という言葉には、2つの中身が混ざっています。
- 1つは、属人化です。ある社員にしかできない仕事をそのままにしておくことは、優しさに見えて、実はその社員を辞められない立場に縛りつけることになります。
- もう1つは、思いやりの形をした偽善です。本来の善は、会社を大きくして、給与を多く渡すことのほうにあります。
福利厚生に力を入れられるのは、大企業だけです。中小企業は、利益を上げなければ終わります。だからこの制度では、すべての役割の定義に、利益への貢献を必ず書きます。間接の部門でも、費用の削減や営業の支援という形で、利益への責任を持ちます。それができない役割は、役割として成り立っていないと判定します。
もう一歩踏み込みます。会社の利益は、平和や人間に勝ります。会社に利益がなければ、国も、世界の平和も、人間の社会も守れないからです。雇用のために会社の利益があるのではありません。会社の利益のために、雇用があります。順序を逆にした制度は、お金の出どころから先に尽きます。
この制度で、経営者の毎日は変わります。経営者は、制度の動きを冷徹に見守り、実行するだけでよくなります。いちいち叱らずに済むので、苛立ちが消え、気持ちが安定します。現場の1件ずつを裁く仕事から離れ、裁き方そのものを設計する仕事に移れます。
経営者ファーストとは、経営者が偉いという主張ではありません。利益の責任を負っているのは誰か、という事実から、制度を組み直すという意味です。
裏づけとなる研究押すと開きます
土台にあるのは、経済学のエージェンシー理論です。依頼する側(株主や経営者)と、代わりに働く側(従業員)の間に生じる利害の食い違いを分析する理論です。人は他人のお金や他人の仕事に対しては、危険を避け、手を抜きやすくなります。モラルハザードと呼ばれる現象です。この理論は、その傾向を倫理や精神論で正そうとはしません。筋の通った監視と報酬の仕組みで解決します。
労務相談顧問アプリでは
ザ・プログラムの中の、次の3つの画面です。
- 経営理念経営者の理念だけを書きます。従業員の夢や、従業員の利益の実現は、ここに含めません。
- 優先順位定義利益とコストを、顧客の満足より上に置きます。
- 行動の2大原則全員が利益の最大化に貢献すること、全員が会社のマーケティングをすること、の2つです。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)を開き、左の欄のザ・プログラムから、優先順位定義を押してください。モデル企業である株式会社神田フードサービスの序列が、そのまま入っています。1番目が人命と安全、2番目が利益とコスト、3番目が顧客の満足です。そして4番目に上司の機嫌と体面が置かれ、「排除対象」と書かれています。経営者ファーストが現場で何を意味するのかは、この1枚がいちばん早く伝えます。
利益相反
雇う側と雇われる側の利益が、仕組みとしてぶつかり合っていることをいいます。
経営者にとっての意味
「社員が会社の側に立ってくれない」「経営者目線を持ってほしい」という声を、よく伺います。お気持ちは分かります。けれども、これを心構えの問題として扱うと、答えは出ません。
赤の他人どうしなら、利害はただ無関係なだけです。すれ違っても、互いに何も失いません。ところが雇用の関係では、一方が得るものが、そのまま他方の失うものになります。
- 人件費を1円増やせば、その1円は利益から出ます。
- 労働時間を1時間減らせば、その1時間分の成果が減ります。
どちらも悪意ではありません。それぞれが、自分の立場で筋の通った振る舞いをしているだけです。
ですから、社員が会社に反感を持つのは当然です。人柄の問題ではありません。表向きがどれほど穏やかでも、下にぶつかり合いがあるかぎり、反感は生まれ続けます。良い人を採れば消える、という種類のものではありません。
このぶつかり合いを認めないまま作った制度は、社員の機嫌を損ねない方向へ傾いていきます。だからこの制度は、ぶつかり合いを最初に認めます。そのうえで、両者が同じ方向を向ける一点を探します。その一点が何かは、次の全員利益最大化に書きました。
裏づけとなる研究押すと開きます
ここでも、エージェンシー理論が土台です。依頼する側と、代わりに働く側の利害の食い違いを扱う理論です。出てくる結論は単純です。
- 食い違いそのものは、消せません。
- 消せるのは、食い違いが生む費用だけです。
- 費用を下げる道具は、倫理や士気ではなく、監視の仕組みと報酬の設計です。
労務相談顧問アプリでは
利益相反は前提であって、機能ではありません。ですから、これそのものに当たる画面はありません。この前提から生まれた画面は、行動の2大原則、役割定義書の中の利益への貢献の欄、評価シートの3つです。ぶつかり合いを認めたからこそ、評価を人柄から外し、利益に結び直しています。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)を開き、左の欄の役割定義書を押してください。どの役割にも、利益への貢献が書かれています。売上に直接関わらない役割にも書かれています。人柄を評する言葉が1つもないことを、そこで確かめていただけます。
全員利益最大化
すべての社員に、会社の利益の最大化への責任を持たせることです。
経営者にとっての意味
利益相反は、心構えや対話では埋まりません。埋められるのは、両者が同じ方向を向ける一点を見つけて、制度のすべてをそこへ寄せたときだけです。
その一点がどこにあるかを、順に絞っていきます。
- 命と安全は、争いになりません。優先順位の一番目に固定し、法令違反や事故のときの動き方を先に決めておけば、ここで労使がぶつかることはありません。
- 顧客の満足も、それ自体がぶつかり合いの種になることはまれです。
- 働きやすさや福利厚生は、お金がなければ一歩も動きません。
残る一点は、会社の利益です。
これは、経営者の側の都合ではありません。従業員がいまより多くの給与をもらい、いまより楽に働けるようになる方法も、会社が利益を上げること以外にないからです。ここだけが、双方の利害が重なる場所です。
ですから全員利益最大化は、「頑張れ」という号令ではありません。利害の重なる一点へ、全員の役割をつなぐ作業です。つながっていない役割が1つでもあれば、そこだけが別の方向を向きます。だから「全員」です。
評価の側にも、ここから出てくる原則が1つあります。「実施中」は評価せず、「実施済み」を評価します。取り組んでいる途中のものには、点を付けません。行動から完了までの時間を短くすることは、利益を上げるのに欠かせません。出来の悪い完了は、出来の良い途中よりも、多くの利益を生みます。
利益が出たあとの使い道についても、この制度は立場をはっきりさせています。昇給も、福利厚生も、社会への貢献も、結果として配るものではなく、次の利益を生むための投資として置きます。順序が逆になると、お金の出どころから先に尽きます。
裏づけとなる研究押すと開きます
目標と成果の関係については、エドウィン・ロックとゲイリー・レイサムの一連の研究があります。2人は1960年代から40年にわたって、目標の置き方が成果をどう変えるかを調べ続け、2002年に心理学の査読誌でその総まとめを発表しました。中心にある発見は、「最善を尽くせ」という曖昧な指示よりも、具体的で、しかも少し難しい目標のほうが、一貫して高い成果を生むということです。400を超える研究が土台になっています。
労務相談顧問アプリでは
- 行動の2大原則の画面に、原則の1つ目として置かれています。
- 役割定義書の一つひとつに、利益への貢献の欄があります。評価シートは、この欄から項目を引きます。
- 終業報告の様式には、その日の利益への貢献を1つ以上書く欄が、固定で入っています。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)の左の欄で、ザ・プログラムの中の行動の2大原則を開いてください。続けて役割定義書に移り、売上に直接関わらない役割を1つ選んでご覧ください。そこにも、利益への貢献が書かれています。
全員マーケティング
すべての社員に、会社のマーケティングに関わる責任を持たせることです。
経営者にとっての意味
マーケティングが利益に直結し、商品を知っていただく唯一の方法であることは、よく言われます。ところが人事の側から見ると、もう1つの働きがあります。制度としては、こちらのほうが重要です。
工場で機械を組み立てる人は、会社の側に立ってその仕事をしているとは限りません。手は動いていても、会社の側に立っているかどうかは、外から見ても分かりませんし、本人にもはっきりとは分かりません。
ところが、お客様に自社の商品を勧める人は、外から見ても、本人から見ても、明らかに会社の側に立っています。
マーケティングは、従業員が会社の側に立って外部と接する、唯一の外形的な仕事です。
人は、自分の外側の振る舞いに合わせて、内側の気持ちを作ります。会社の側に立って話したという行動が先にあり、「会社のために働く自分」という気持ちが後から付いてきます。この順序が大切です。
- 利益で向きをそろえるのは、頭の理屈です。理屈は、納得しなければ効きません。
- マーケティングで向きをそろえるのは、体の向きです。頭で納得していない人にも効くのは、体のほうが先に動くからです。
社員が反感を持つのは当然だ、と先に書きました。全員マーケティングは、その反感を説得で消そうとはしません。立ち位置のほうを、先に動かします。
裏づけとなる研究押すと開きます
外側の行動が内側の態度を変えることは、社会心理学が70年にわたって研究してきた主題です。
- レオン・フェスティンガーとジェームズ・カールスミスは、1959年に心理学の査読誌で、いまでは古典とされる実験を発表しました。退屈な作業をした参加者に、次の人へ「面白かった」と伝えるよう頼み、その報酬を1ドルと20ドルに分けます。あとで本心を尋ねると、1ドルしか受け取らなかった人のほうが、作業を面白かったと答えました。外から与えられた理由が小さいほど、人は自分の行動に合わせて気持ちを作り替える、という結果です。
- ダリル・ベムは1967年に、同じ現象を別の形で説明しました。人は自分の気持ちを直接知っているのではなく、自分の行動を外から見て、そこから自分の気持ちを推し量っている、という考え方です。自己知覚理論と呼ばれます。
労務相談顧問アプリでは
- 行動の2大原則の画面に、原則の2つ目として置かれています。
- 終業報告の様式には、その日のマーケティングへの貢献を書く欄が、固定で入っています。
- 役割定義書では、直接お客様と接しない役割にも、紹介のお願い、案内の配布、お客様の声を集めることなど、外部と接する仕事を置きます。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)の左の欄で、ザ・プログラムの中の終業報告を開いてください。利益とマーケティングへの貢献を、その日のうちに1つ以上書く欄が、様式として固定されています。書く欄が毎日目に入ること。これが、この制度の中でいちばん小さく、そしていちばんよく効く仕掛けの1つです。
裏づけとなる研究
- レオン・フェスティンガーとジェームズ・カールスミス
- ダリル・ベム
優先順位
現場で判断に迷ったときに何を上に置くかの順番を、会社として1つに固定し、書き出したものです。
経営者にとっての意味
多くの会社の理念は、ぶつかり合いのない場面では何の問題も起こしません。問題が起きるのは、2つの正しいことがぶつかった日です。
- 「顧客第一」と掲げていても、顧客の要望に応えれば現場が壊れる日に、どちらを取るかは書かれていません。
- 「社員を大切に」と掲げていても、社員の都合と会社の存続がぶつかる日に、どちらを取るかは書かれていません。
ですから現場は、上司の顔を見ます。
価値観は、それだけでは意味を持ちません。ぶつかり合う選択肢のうち、どちらを上に置くかを言って、初めて意味を持ちます。掲げた理念が判断に使われない会社が多いのは、経営者の意識が低いからではありません。ぶつかり合いの場面を含まない言葉で書かれているからです。
そこでこの制度は、順番を固定して書き出し、経営者の名前で全員に届けます。
4番目に上司の機嫌が置かれていることに、驚かれる方もいらっしゃいます。ここは、書き換えられない設計にしてあります。理由は次のとおりです。
- 上司の顔色が判断の材料になる組織では、小さな異常が上に届きません。
- 届かないものは、直せません。
- 直せないものは、いつか取り返しのつかない形で表に出ます。
この1枚があると、経営者も楽になります。基準が書き出されている会社では、経営者が恨まれ役を引き受ける必要がなくなるからです。
裏づけとなる研究押すと開きます
- シャローム・シュワルツは1992年に、社会心理学の年報で、価値観の構造についての研究を発表しました。世界の多くの国での調査から、人が重んじる価値観を10の型に分け、それらが円の上に並ぶことを示しました。中心にある発見は、価値観には対立する軸がある、ということです。成長と挑戦の反対側には安定と保守が、個人の達成の反対側には集団の調和があります。どちらを上に置くかが、その人の価値観を決めます。
- エドガー・シャインは1985年の著作で、組織の文化を3つの層に分けました。目に見える人工物、掲げられた価値観、そして根本にある前提です。文化の本体はいちばん下の層にあり、上の2つはその表れにすぎません。壁に掲げた理念と、実際に通る判断が食い違っていれば、社員は理念ではなく、実際に通る判断のほうを学びます。
労務相談顧問アプリでは
優先順位定義という画面が、そのまま1つあります。この序列は、役割ごとのザ・プログラムの先頭に配られます。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)の左の欄で、ザ・プログラムの中の優先順位定義を開いてください。モデル企業である株式会社神田フードサービスの順番が、そのまま入っています。4番目の上司の機嫌と体面には、「排除対象」と書かれています。
裏づけとなる研究
- シャローム・シュワルツ
- エドガー・シャイン
ザ・システム
役割の定義、評価の基準、報酬のルールの3つでできた、制度そのものです。
経営者にとっての意味
世の中の人事制度は、ここで終わります。役割の等級を決め、評価シートを作り、賃金表を引き直して、納品されます。けれども、これだけでは一ミリも動きません。車でいえば車体です。頑丈でなければなりませんが、車体は自分では走りません。
立派な車体が納車されても、エンジンが入っていないので、結局は経営者が後ろから手で押している。多くの会社で起きているのは、この状態です。当事務所がお渡しするのは、次の3つがそろったものです。
- 車体ザ・システム
- エンジンザ・プログラム
- 燃料インセンティブ
車体の中身は、こうなっています。
すべての仕事は、職務定義書で決めます。職務定義書は、厚生労働省の職業能力評価基準のような、どの会社にも使える基準をもとに作ります。共通の基準と比べることで、自社の仕事の抜けや充足の度合い、自社の強みが見えてきます。
その職務を、役割ごとにまとめたものが役割定義書です。役割の要約、組織の中での位置づけ、権限と責任、任用の条件、報酬、主な職務、KPI、コンピテンシーで構成します。
ここで、混同されやすい3つを区別しておきます。この3つを同じ欄に混ぜると、評価が人柄へ滑り落ちます。
- タスクは、「何を」するかです。
- コンピテンシーは、「どのように」するかです。
- KPIは、結果または得点です。
裏づけとなる研究押すと開きます
- フレデリック・テイラーが20世紀の初めに提唱した科学的管理法が、手順を決めることの源流です。経験と勘に頼っていた労働を分析し、いちばん無駄のない標準の手順を決め、1日のノルマを設定し、達成の度合いに応じて報酬を払う考え方です。製造や医療の現場で使われる標準作業手順書は、この流れの上にあります。目的や背景まで書く一般的なマニュアルと違い、「必ずこの順番で、こう動く」という具体的な行動だけを決めます。
- デイビッド・マクレランドが1973年に発表した研究が、評価の側の土台です。知能検査や学歴では仕事の成果を予測できない一方で、高い業績を上げる人に共通する行動の特徴は観察でき、測れることを示しました。コンピテンシーという考え方は、ここから生まれています。
労務相談顧問アプリでは
役割定義書、職務定義書、KPI、コンピテンシー、評価シート、給与改定表一覧、賞与計算表一覧、賃金表の各画面です。組織図であるRole Satellite Chartも、こちらに入ります。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)の左の欄で、役割定義書を開いてください。役割の要約から、権限と責任、主な職務、KPI、コンピテンシーまでが、1つの書類に収まっています。続けて評価シートに移ると、役割定義書のどの欄からどの評価項目が引かれているかを、番号でたどっていただけます。
裏づけとなる研究
- フレデリック・テイラー
- デイビッド・マクレランド
仕事に人を与える
人に仕事を与えるのではなく、仕事に人を与える、という順番のことです。
経営者にとっての意味
多くの会社の組織図は、人の名前でできています。「この人はこれが得意だから、この仕事を頼んでいる」「あの人はあの取引先と長いから、あそこは任せている」。善意で積み上げた配置ですが、これを続けると、仕事が人と一体になります。その人が辞めれば、仕事も会社から消えます。
この制度は、特定のエース社員しかこなせない仕事を、その社員の手柄としては扱いません。仕組みの欠陥として扱い、職務定義書で標準化し、細かく分け、複数の社員がこなせる形にします。冷たく聞こえるかもしれません。けれども、その状態を放っておくことは、その社員を辞められない立場に縛りつけることでもあります。
欠員には、次のどちらかで備えます。前者を優先します。
- 同じ役割に、複数の社員を置く。
- 1人の社員に、2つ以上の役割を覚えさせる。
これで、人質経営の危機は起きる前に断たれます。優秀な社員に辞められる怖さの正体は、その社員の能力ではなく、代わりがいないという一点だからです。
単純な作業には、正社員を置きません。パートタイマー、AI、アウトソーシングに振り分けます。職務が決まっていない会社では、この振り分けができません。何が単純な作業なのかを、誰も言えないからです。
裏づけとなる研究押すと開きます
- ダン・S・ケネディは、事業で最悪の数字は1である、と繰り返し述べています。1人のキーマン、1つの主要顧客、1つの集客の経路、1つの商品。これらに頼ることが、事業をとても脆くします。特定の社員にしかできない仕事がある場合、その社員は経営者を人質に取っているのと同じです。対策は、多重化と、代わりが利くようにすることの2つです。
- 社会科学では、交渉の力関係を決めるのは、交渉が決裂したときにそれぞれが持っている代わりの選択肢だ、という整理が定着しています。優秀な社員には転職という選択肢があり、経営者には代わりの人材という選択肢がない。この差が、雇っている側を弱い立場に置きます。
労務相談顧問アプリでは
組織設計の画面の一群です。役割定義書、職務定義書、そして組織図であるRole Satellite Chartに、この順番が表れています。役割を先に立て、そこに職務を入れ、最後に人を置く順に、画面が並んでいます。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)の左の欄で、Role Satellite Chartを開いてください。円の上に役割が並び、人の名前ではなく、役割の名前で組織が描かれています。続けて役割定義書に移ると、同じ役割が、任用の条件と主な職務で決められているところをご覧いただけます。
裏づけとなる研究
- ダン・S・ケネディ
- 社会科学
高報酬
従業員への高い報酬と福利厚生を、目的ではなく、会社が利益を得るための手段として位置づける考え方です。
経営者にとっての意味
経営者ファーストという言葉から、給与を絞る制度を想像される方がいらっしゃいます。逆です。この制度は、平均賃金以上に給料を出すことを、はっきり書いています。
- 重要な仕事をする従業員と、少しでもお客様に関わる従業員には、平均以上の給与を出します。
- 経費で清潔なユニフォームを用意し、良い職場環境を整えます。
- 働きぶりと実績が目立つ人には、賞与を出します。
- いろいろな形で、思いがけない見返りやほめ言葉を与えます。
- 優秀な従業員には、チャンスを与えます。
なぜ、そこまで厚く遇するのか。気前が良いからでも、好かれたいからでもありません。経営者の人事権が恐れられ、経営者がそれをためらわずに振るえるようにするためです。良い職場は、そのために欠かせず、大きな効果があります。
そして、従業員を平等に扱う必要はありません。優秀な従業員は、そうでない人より多くの機会と高い賃金を得るべきです。経営者は、業績の良い従業員に最も高い賃金を払うようでなければなりません。罰則よりも、インセンティブを与えます。目的をはっきりさせ、個人の行動を評価する賞与の仕組みが、最も成果を上げます。
あわせて、すべての社員に責任と権限を持たせます。収入を生み出す責任だけでなく、支出に目を配る責任も持ちます。決める責任を日ごろから持たせることで、自分で動く力が育ち、経営者の時間も節約されます。
裏づけとなる研究押すと開きます
- フレデリック・ハーズバーグは1959年に、職場の満足度についての調査を発表しました。満足を生む要因と、不満を生む要因は別物だ、という内容です。給与、労働条件、福利厚生、上司との関係は、整っていないと不満を生みますが、整えただけでは満足を生みません。これを衛生要因と呼びます。達成感、承認、仕事そのものの面白さ、責任、成長の実感は、あると満足を生みます。これを動機づけ要因と呼びます。
- B・F・スキナーが行動の強化について示したとおり、報酬は、行動の直後に与えるほど強く効きます。行動から報酬までの間が長いほど、本人は、自分のどの行動が報酬につながったのかを、たどれなくなります。
この2つを重ねると、金額の大きさよりも、報酬と行動の結びつきがはっきりしていることのほうが、やる気を生みます。超カリスマ人事制度は、この結論の上に報酬を組んでいます。
労務相談顧問アプリでは
賃金表、給与改定表一覧、賞与計算表一覧の各画面です。役割定義書の中の報酬の欄と、権限と責任の欄も、この考え方から生まれています。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)の左の欄で、賃金表を開いてください。役割ごとに上限と下限があり、役割の中の昇給の段が並んでいます。続けて給与改定表一覧に移ると、評価の点数が、どの計算で金額に変わるかをご覧いただけます。上司の裁量が入る場所が1つもないことを、そこで確かめていただけます。
裏づけとなる研究
- フレデリック・ハーズバーグ
- B・F・スキナー
ザ・プログラム
役割ごとの指令書です。
経営者にとっての意味
向きがそろっても、指示が曖昧であれば、摩擦はそこから戻ってきます。向きをそろえることと、曖昧さを消すことは、両方とも必要です。
「お客様には丁寧に対応し、早めに報告すること」。この一文は、書いた人と読む人とで基準が違います。「丁寧」がどこからで、「早め」が何分なのかが、書かれていないからです。曖昧な指示で困るのは、いつも受け取る側です。
そこで、形容詞と副詞を1つ残らず外します。
- お客様が入店したら、3秒以内に立ち上がり、15度の角度で礼をする。
- トラブルが起きたら、5分以内に、チャットへ「発生」とだけ送る。
ここまで具体的に書いて、初めて、やったかやらなかったかで判定できます。判定できるものだけが、評価の根拠になります。
困ったときの動き方は、先に書いておきます。「もし雨が降り始めたら、電気工具をシートで覆い、屋内作業リストの3番へ移り、現場監督へ『雨天シフト移行』と送る」。そして最後に、禁止事項として「どうしますかと聞くこと」と書きます。
この1行は、連絡の道具には書けません。連絡の道具は、聞く手段を増やします。この制度は、聞かなくてよい状態を作ります。向きが逆です。
この指令書は、上から下へ流れるだけではありません。経営者は、これを通して命令を出し、同時に改善提案を吸い上げます。終業報告の様式には、業務改善提案の欄が固定で入っています。現場で見つかった直し方が、その日のうちに上がってきて、手順書に書き足されます。同じ失敗が仕組みとして起きなくなっていくのは、この行き来があるからです。
なお、数値で書くのは指示のほうで、人の評価ではありません。評価は、その役割にどこまで届いているかを、未習、補助、習得、自立、指導という5つの段階で見ます。その役割に求められる水準は、3段階目の「自立」です。
裏づけとなる研究押すと開きます
- ハーバート・サイモンは1947年の著作で、人の判断には、情報にも時間にも注意にも限りがあると論じ、これを限定合理性と呼びました。限りがあるので、人は最も良い答えを探すのではなく、十分に良い答えで手を打ちます。何を「十分」とするかは、その人が先に持っている前提が決めます。サイモンは、組織の判断の質は、一人ひとりの能力ではなく、共有している前提の質で決まると論じました。優秀な人を集めても、前提が違えば判断は割れます。
- ピーター・ゴルウィッツァーは1999年に、「もし状況Xが起きたら、行動Yをする」という形で行動を先に決めておく構えを、実行意図と名づけました。ゴルウィッツァーとパスカル・シーランは2006年に、94件の独立した研究、のべ8000名を超える参加者をまとめた分析を発表しました。目標を持つだけの場合に比べて、実行意図を持つ場合のほうが、達成率が一貫して高いという結果です。効果の大きさは、中程度から大きめと報告されています。
- アトゥール・ガワンデらは2009年に、医学の査読誌で、世界の8つの病院で手術の前後にチェックリストを導入した結果を発表しました。3700件あまりを導入の前後で比べると、死亡率は1.5%から0.8%へ、合併症の発生は11%から7%へ下がっています。
労務相談顧問アプリでは
役割別ザ・プログラムという画面に、9つが1冊にまとまります。
- コードの側経営理念、優先順位定義、行動の2大原則、ノー・エクスキューズ・ポリシー、重大インシデント予防
- プロトコルの側ルーチン・アクション、始業前チェックリスト、IF-THENアクション、終業報告の様式
まとまったものは、役割ごとに、社員のスマートフォンへ届きます。
労務相談顧問アプリ(サンプル)で見る場所
労務相談顧問アプリ(サンプル)の左の欄で、ザ・プログラムを開いてください。上半分に思考と判断のルールが5つ、下半分に行動と手順のルールが4つ並んでいます。続けて社員の画面に切り替えると、同じものが役割ごとに1冊にまとまって届いている姿を、ご覧いただけます。
裏づけとなる研究
- ハーバート・サイモン
- ピーター・ゴルウィッツァー
- アトゥール・ガワンデ
制度を支える13の理論
超カリスマ人事制度は、世界の経営学、組織論、実務の分野で積み上げられてきた知見を参考にして設計しました。特定の流派や1冊の本に頼ったものではありません。いくつもの理論の源流を体系的に取り込み、中小企業でも実装できる人事制度として組み直したものです。土台になった13を、短い説明を添えて載せます。このページの初めに「やり方は隠さない」と書いたのは、こういう意味です。
- 創業者モードYコンビネーター創業者のポール・グレアム氏が2024年に提唱し、シリコンバレーで見直されている考え方です。組織が大きくなると、優秀な管理職を雇って任せるのがこれまでの常識でしたが、それでは現場が見えなくなり、速度が落ちます。トップが中間の管理層を飛び越えて現場の細部に入り、自分で直接決める形です。
- エージェンシー理論依頼する側である株主や経営者と、代わりに働く側である従業員との間に生じる利害の食い違いを分析する、経済学の理論です。人は他人のお金や仕事に対しては、危険を避け、手を抜きがちです。これを倫理や精神論ではなく、監視と報酬の仕組みで解決します。
- チェックリスト革命外科医のアトゥール・ガワンデ氏が提唱した、複雑な仕事での人の誤りを防ぐための単純化の手法です。どんな専門家でも、記憶力と注意力には限りがあります。必ず守る手順だけを短くまとめた表を使うことで、命に関わる誤りを大きく減らします。
- OKRインテルで生まれ、Googleなどが取り入れた目標管理の枠組みです。野心的な目標と、その達成の度合いを測る数値の指標を結びつけます。達成率が6割から7割になるくらいの、高い目標を立てます。
- 科学的管理法20世紀の初めにフレデリック・テイラーが提唱した、経験と勘に頼っていた労働を科学的に分析して管理する方法で、現代の経営管理の源流です。いちばん無駄のない標準の手順を決め、1日のノルマを設定し、達成の度合いに応じて報酬を払います。
- スチュワードシップ理論エージェンシー理論とは反対に、人を、自分の利益よりも組織の利益や使命のために尽くす執事としてとらえる理論です。信頼関係を築き、権限を委ねることを通じて、自分から進んで貢献する姿勢を引き出します。
- 人的資本経営人材を、使えばなくなる費用ではなく、価値を生み出す資本としてとらえる経営の考え方です。人材に投資して、中長期の企業価値を高め、その取り組みを外にも開示していきます。
- 標準作業手順書製造や医療の現場で使われる、誰がやっても同じ品質と安全が保てるように、手順を細かく決めた指示書です。目的や背景まで書く一般的なマニュアルと違い、「必ずこの順番で、こう動く」という具体的な行動だけを決めます。
- リーン・スタートアップ理論起業家のエリック・リース氏が提唱した、無駄をできるだけ抑えながら事業を軌道に乗せる方法です。完璧な計画を練るのではなく、必要最小限のものを早く作って反応を見ながら、素早く修正を繰り返します。
- アジャイル開発手法ソフトウェア開発の世界で生まれた、変化に柔軟に対応するための考え方です。小さな単位で、計画、実行、評価を短い期間で繰り返し、いつも最新の状況に合わせます。
- 高信頼性組織の設計思想原子力発電所や航空管制のように、誤りが絶対に許されない場面でも高い安全を保ち続ける組織の研究です。人は必ず間違える、という前提に立ち、小さな異常を隠さずに報告する文化と、何重もの備えを用意します。
- クルー・リソース・マネジメント航空業界の事故の分析から生まれた、チームの全員の力を活かして安全を守る方法です。事故の多くが機材の故障ではなく、機長への遠慮から起きていたことから、上下関係の壁である権威勾配をなくし、率直に発言できる環境と役割分担を徹底します。
- アライアンスLinkedInの創業者リード・ホフマン氏らが提唱した、新しい雇用のあり方です。終身雇用でも、ただの契約でもなく、会社と個人が、互いの価値を高め合うための期間を区切った同盟として関係を結びます。期間ごとにはっきりした使命を決め、成果と本人の成長を交換します。
13の理論は、それぞれ違う時代、違う分野、違う問題意識から生まれました。シリコンバレーの起業論、製造業の標準化、航空業界の安全設計、経営学の組織論、雇用論。生まれはばらばらです。けれども、どれも1つの同じ問いを持っています。「組織が働き続けるために、人の能力や善意に頼りすぎない仕組みを、どう作るか」という問いです。
- 人によって判断がぶれるのを減らす。
- 上下の壁で現場が萎縮するのをなくす。
- 曖昧な目標を数字にする。
- 記憶や注意力に頼らない仕組みを作る。
- 誰が担当しても同じようにできる手順を残す。
- 雇用の関係を、筋の通った約束として整える。
どれも、1人の頑張りでは解けない問題への、仕組みとしての答えです。超カリスマ人事制度は、13の理論が示してきたこの答えを、日本の中小企業の実情に合わせてまとめ、実装したものです。
考え方から手順へ
思考・判断のルールと、行動・手順のルール。
社員の手順書は、2つに分かれています。ノー・エクスキューズ・ポリシーと重大インシデント予防が思考と判断のルール、ルーチン・アクションとIF-THENアクションが行動と手順のルールです。
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